恋する時間を私に下さい
……どうやら違うんだな…というのは、ルナが眠ってから気づいた。
礼生さんは私を特別の相手だと認めた上で、この鍵を手渡してくれたんだ…。


(ど…どうしよう……今更怖くなってきちゃった……)

合鍵の意味を改めて知って、もの凄く困惑してしまった。
1日24時間、いつでもこの鍵を使って、礼生さんの部屋へ行ってもいいなんて……

(でも……あの第二『OーGATA図書館』の本も…読んでいい…と言ってたよね……)


黒い木戸の向こう側に、山となった本が見えた。
手に取る前に止められたけど、どんな本があるのか見てみたい……。


ーーーうずうずしてきました。
夜中だというのに、構わず本に会いたくなってしまった……。


カリカリ…とメモを残しました。
私があの部屋に行くことは、ルナにはスグにバレるはず。
礼生さんに会いに行くんじゃなくて、蔵の本に会いに行くんだ…と言っても、信じてはくれないでしょう。


(……あれこれ言いたかったら、言わせておこう……私の目的は本なんだから……)



自分の部屋を飛び出した。
表から鍵をかけ、駅前に急ぎました。

午前0時の街角は…疎らだけれど、一応まだ人がいる。
そこで私は、会いたくもない人と、鉢合わせてしまったのですーーー


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