メシトモ!
「そんなことは起こらないよ」

 加絵は「そう」とだけ言った。

 そして最近見かけたイケメンについて熱く語りだした。

 イケメン探しは加絵のマイブームだ。仕事が楽しい今、もう彼氏はいらないと突然言い始めた。ついこの前までは彼氏がほしいと嘆いていたくせに。その代わり、目の癒しとしてイケメンを眺める。これが楽しいらしい。

「イケメンもいいけど、じっと見すぎて変態に間違われないようにしてよ」

「そこは大丈夫よ。イケメンよりも遠くを見つめているふりをして、視界の端にイケメンを入れる。こうすると視線が外れるから問題なし。それに長時間じっと見ている訳じゃないから」

 それからも加絵はイケメンの話が止まらなかった。

「そうそう、プランナー内で涼太君のこと、未だに話題になるよ。年下で、礼儀正しくって、真面目な好青年。顔もいいよねって。あんないい子が弟って羨ましいとも言ってるね。私もびっくりしたよ。宏実が長身の爽やか高青年とロビーで話しているのを見たときは」

「それ、まだ言うの? 私にはただの小生意気な弟でしかないけど」

 あのブライダルショー以来、時々、弟がイケメンという話題がよく振られる。身内として悪い気はしない。ただ対応に困る。

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