メシトモ!
「今日は疲れたからタクシーで帰る」

「うわ、リッチ」

「たまにはね」

「じゃあ、明日も一日頑張りましょう」

「オー」と軽く左手を上げた加絵は、そのまま手を振ってタクシーを停めた。

「じゃあね」

 私も手を振り返して、駅へ向かった。こうやって、美味しいものを食べて、しゃべる。それが私たちのやる気の出し方だ。学生のころと大して変ってないと思うけど、これが一番なんだからしょうがない。


   ◆◆◆


「杉山さん、疲れてる?」

 今日はカウンターで並んで座っている。私と佐々木さんが偶然再会した場所、居酒屋びーだまに来ている。あのときと同じ所に座っている。

「今、ちょうど夏休みでしょ。家族連れのお客様が増えるんだよね。だからファミリー向けのイベントや特別プランがあって、普段とはちょっと違った仕事が増える時期で。それでちょっと疲れが出てるのかも」

 佐々木さんとコンスタントに会っていることで、指令を難なくこなし現在は敬語を使っていない。疲れていようが、テンションが高かろうが、敬語が出てくることはもうない。

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