メシトモ!
 話し終わると、佐々木さんは一生懸命笑わないようにしていた。

「好きなだけ、笑っていいよ」

「い、いや。大丈夫」

 ビールを飲んだ佐々木さんは、メモ帳を次のページに捲り、なにかを書いた。

「はい、練習しよう」

「うん?」

「イラストの練習。デッサンや水彩画、油絵になると、すぐに上達するのは無理だけど、イラストならそれなりに描けるよ」

「そうなの。犬がおばけやお地蔵さんみたいでも」

「うん。コツを教えてあげるよ。これでもデザインのプロだよ。はい、お題書いたから」

 私のほうにメモ帳とボールペンが置かれた。メモ帳の上には『チューリップ』と書かれていた。

 私は殆どひと筆書きのようにチューリップを描いた。

「はい」

「うん、これは誰が見てもチューリップだね」

「佐々木さん、さすがにどんなに絵が下手でもチューリップは描けるでしょ」
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