メシトモ!
 なんとなく紗希さんに会ったことを伝えるべきじゃないかなと思い、スマホをバッグから取り出した。

 紗希さんを追っかけていった日から、佐々木さんとは会ってもいなし、連絡も取っていない。

 呼び出し音のあとに聞こえてきたのは『現在、電波の届かない所にあるか……』というアナウンスだった。通話を終了し、スマホをしまった。

 街はクリスマスムード一色だ。こんなに華やかな街並みにいるのに、自分は孤独な存在に思えた。

 ホテルのロビーにそびえ立つクリスマスツリーは本当に豪華だ。緑のモミの木に、赤やゴールドの飾りに、白いリボンをぐるぐると巻き付けてある。

 ツリーの前では写真を撮る人があふれていた。

「あの、すみませんけど、写真を撮ってもらえますか」

「はい」

 三十代くらいの男性からデジカメを受け取った。男性はツリーの下に居る女性と子供の隣に立った。

 いい家族だなと思った。フレーム内にツリーと家族がうまく入るようにする。

「はい、チーズ」

< 200 / 235 >

この作品をシェア

pagetop