メシトモ!
 カシャッというシャッター音とフラッシュが光った。

「ありがとうございます」と言って、男性は私の手からデジカメを受け取った。

 そのあと立て続けに、他の家族やカップルからの撮影を頼まれ、写真を撮ってあげた。

 私って、最後に写真を撮ったのっていつが最後だろうろう。記憶を辿ってみて、後悔した。最後に写真を撮ったのは、あのモデルになったときだった。自分の顔は映っていないが、カメラを向けられたのはそれが最後だった。思い出すんじゃなかった。

 今日はアパートに帰らず、実家に帰った。自活する気力がないからだ。ここは涼太に頼るのが一番。終電で帰り、家の人たちはもうみんな寝ている。静かにお風呂に入って、自分の部屋に入った。

 魂が抜けていた二週間があった所為で、いつ帰ってきても大丈夫なように、ベッドメイキングがちゃんとされている。うん、感謝、感謝 疲れた体でベッドに入ってしまえば、すぐに眠気に襲われる。

 スマホが鳴り響く音で目が覚めた。さっき寝た気がするんだけどな、時計を見ると、一応五時間は寝ていた。

 ああ、眠い。二度寝したいけれどね。そうもいかない。

 無理やり体を起して、布団から離れた。パジャマを脱いで寒さに耐えながら、服を着替える。そして最後の仕上げに、部屋の窓を全開にして冷気を顔中に浴びた。これで完璧に目が覚める。
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