メシトモ!
「それなら、なんでコインケースを送り返してきたんですか」

「君との約束を守るため」

「なっ……」

 本当は「なんでそんなに律儀なんですか」と言うつもりだった。

 その言葉飲み込まれてしまった。突然のキスで思考も言葉も奪われた。

「顔、真っ赤。僕の好きな人は誰だかわかるよね」

 繋いでいたはずの手は腰に回り、さっき結んだリボンを触っている。

「この状況で私じゃない女の名前言ったら怒るけど」

「そうだね。で、返事は?」

「このドレス似合ってますか?」

「え?」

「え、じゃない。このドレスが届いたとき、自分は似合わないだろうなと思ったの。それに、世界中で有名な"Maria Afternoon"のデザイナーで、働いている会社の社長の甥でって。なにそれ。私はただの一般人なの。そんな人が佐々木さんの隣にいていいの? 世界中の女性が待ち望んでいた"Maria Afternoon"の新作を私が着ていいの?」
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