メシトモ!
「うん」

 佐々木さんの腕がゆるみ、体が少し離れた。

「ドレス、よく似合っているよ。海外ではずっとこのドレスを作っていたんだ。君が着てくれる日を想像して。本当は電話して声が聞きたかった。でも君の声を聞いたら、その勢いで告白してしまいそうだった。それは絶対にしたくなかったから」

 ゆっくりと私の頬に手を当て、存在を確かめるように撫でる。温かく大きな手を覆うように自分の手を重ねた。

「好きだよ。宏実のことが大好きです」

「うん。私も好きです、幸司さん」

 初めてお互いのことを名字ではなく名前で呼んだ。それは少しむずがゆくて、恥ずかしい気持ちになる。

 静かに近づいてくる唇を、待つようにゆっくりと目を閉じた。さっきのような一瞬で終わってしまうキスではなかった。

 佐々木さんの手へ肩から腰へ回る。私は当たり前のように佐々木さんの背中に回した。すると佐々木さんの手が怪しい動きを始める。後ろにリボン結びを解き、背中のチャックを下ろそうとしている。反射的に佐々木さんの胸を押した。

「ちょっと、なにしてるの!」

「えっ、あ、ごめん。無意識だった」
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