メシトモ!
 ああ、と思う。確かにそれを言われたら、こっちはどうしよもない。ホテル業界はカレンダー通りの休日が稼ぎ時だから。

「それはどうにもできないよね。やっぱり同じ業種の人との方がいいのかな」

「どうだろう。まあ、仕事の理解はあるからいいのかも。こっちも理解できるし」

 加絵は横を向いて窓越しの景色を見つめた。

 どんなに好きな相手でも、小さなタイミングのズレが起きれば、その相手との距離は数ミリ離れてしまう。その数ミリの距離を縮める前に、また小さなズレが生じる。それを繰り返してしまえば、数ミリの距離は数センチとなり、そして数メールと広がっていく。気がつけば、別れの道に変化している。

 私たちみたいな休みが不定期の人間が、カレンダー通りの休日を送る人間と付き合うと、そういう小さなズレが起こりやすい。

 私も加絵と同じで、社会人になってからできた彼氏に「休みが合わないし、全然会えないし、もう無理じゃない」と言われて終わった。

「お待たせいたしました。ハンバーグステーキとテリヤキチキンのデミグラスソース添えになります」

 お互いの世界へ入り込んでしまっていた私たちの前に、美味しそうな香りを撒き散らす料理が置かれた。

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