メシトモ!
「涼太君、モデルをやってくれないかな?」

 涼太よりも先に私が「えっ」と反応してしまった。

「杉山さん、涼太君、突然驚かせてしまって申し訳ない。このホテルでウェディングフェアをやっていて、そのフェアでウェディングドレスのファッションショーがあるんだ。実は今日出る予定だったモデルが一人、つい1時間半前に倒れてしまって病院へ運ばれたんだ。ただの盲腸で命に別状はなくてよかったんだけど。急なことで代理のモデルが見つからなくて」

 裏では随分大変なことになっていたんだと思いながら、佐々木さんの話を聞いていた。

「それで、そのモデルの代わりに涼太君がやってくれないかな。君、身長一八〇センチ以上あるよね」

「はい、一八四です」

「どうかな。もちろん謝礼は支払わせていただきます」

「そう言われても、僕はただの大学生ですし、プロのモデルさんに混ざるなんて無理です」

 この切羽詰まった状況で、はいそうですかと話が終わるはずもない。佐々木さんは涼太への説得を続けた。

「そう思うのは当たり前だよ。僕だって、もし今のような頼み事を言われたら、涼太君と同じように言うと思う。それも承知の上で頼んでいるんだ」

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