メシトモ!
 佐々木さんの案内に従って、電車に乗り駅から少し歩いていくと、タイル張りのビルの前に来た。ビルとビルの間に佇むビル。両隣のビルと似たり寄ったりのどこにでもあるビル。いわゆる雑居ビルだろう。

「ここの地下です。少し足元が暗いんで気を付けてください」

 佐々木さんが先に階段を下りて行った。私は手すりに掴まって、足元に注意しながらゆっくり下りた。

 扉には木目のボードが掛けられていて、そこには『ディマンシュ』と書かれている。

 中に入ると、ダウンライトで少し暗く、カウンターの後ろには初めて見るようなお酒が壁一面に並べられている。

 佐々木さんはカウンターから少し離れたところにある、二人席用のテーブルに座った。私も佐々木さんの向かいのイスに座った。

「ここお酒の種類も豊富だし、料理も美味しいんだ」

 佐々木さんはお店に入ったことで、仕事モードが抜けたらしい。私の知っている佐々木さんがそこに居た。さっき感じた、微妙な寂しさは一瞬で消えてしまった。

 私のほうに向けられているメニューには、四、五ページに渡ってアルコールメニューが続いていた。

「本当にアルコールの種類が多いんですね」

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