メシトモ!
 唖然としていると、佐々木さんが急に笑い出した。

「杉山さんって、本当にいい表情するよね。顔から心の声がダダ漏れだよ。しまったって感じが」

「ああ、もういいじゃないですか。負けた方が勝った方の言うことを一つ聞く。いいでしょう。やりましょう」

「交渉成立だね。では、勝負初め」

 さっきのゲームで先攻だった私は後攻になり、佐々木さんが先に駒を動かした。

「杉山さん、すごく真剣だね。僕に叶えてもらいたい願い事でもあるの?」

「いいえ、とくにないです」

「じゃあ、なんでそんなに真剣なの?」

「一応、勝負なんで」

「それって、負けず嫌いじゃない? さっき、負けず嫌いじゃないって言っていたよね」

「それはただゲームをするときの話で、賭けがあるゲームなら負けたくないですよ」

「なるほど」

 流れでこんな賭けをすることになったけれど、自分が勝ったときのことより負けたときのことを気にしている。

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