あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

多分他の人から見たら、まさにそんな場面だっただろう。

「結婚までが一番いい時よ。精一杯楽しみなさい。」

そんな小夜子さんの様子に私はホッとする。

「小夜子さんもそうでしたか?」

私はつい聞いてしまって、顔をしかめる。

「いいのよ。こんなに早く主人を亡くすんだったら、仕事もせずにもっともっとそばに居たかったわ。これから二人でゆっくり出来る所だったのよ。神様って意地悪だわ。」

遠い昔を思い出すかのような小夜子さんの表情。

「だからこの先私みたいに後悔しないようにね。」

お母さんのような雰囲気の小夜子さん。

やっぱり小夜子さんに郁也さんの事はちゃんと話そう。

今はいつ話せるようになるか分からないけれど。

そんなふうに今日はゆったりと過ぎていった。

取り立てて急いでする仕事がない時は、こんな感じだ。

そろそろ退社時間だ。
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