あなたに包まれて~私を分かってくれる人~
「退職の贈り物なので、そのようにお任せします。」

「はい、分かりました。」

店員さんが離れて行った後、郁也が私を見た。

「何か他に見たいものはある?」

私はしばらく考えたけれど…。

「特にないけど、郁也は他に欲しい物があるの?」

私は首を傾げながら聞いた。

「じゃあ、見たいものがあるから付き合ってくれる?」

店員さんからネクタイを受け取り、私はネクタイ1本分の代金を郁也に渡した。

「人数で割って、みんなから徴収するね。」

正式に本人に渡す前に、その本人が持って歩いているきちんと包装されたネクタイ。

代金まで本人に分かってしまっている。

「何か順番がめちゃくちゃだね。」

私は笑ってしまった。

「まあ、自分の好みに合わない物をもらうよりずっと良いよ。」
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