あなたに包まれて~私を分かってくれる人~

そう言って郁也も笑った。

エスカレーターで移動する郁也に付いて行くだけの私。

「えっ…、ここは…。」

そこは貴金属の階だった。

「今日のお礼に、明日実家にしていくペンダントでも選ぼう。指輪はもっと萌香の好みが分かってから。」

照れくさそうにそう笑う郁也。

「私の物なんていらないよ。勿体ない。」

私は思わず本音を漏らしてしまった。

じろりと私を睨む郁也はちょっと怖い。

「俺が困るって言ったら?婚約者として実家に連れて行くのに、俺のあげた物を身に着けていないなんて、笑いものにされる。」

「そんなことないよ。だって私達付きあったばかりだもの。」

私は繋がれている手に力を入れる。

「萌香に選んでもらったネクタイをして明日は行くつもりだ。だから萌香も…。」

郁也の言いたい事は分かる。
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