小さな恋の物語 *短編集*
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「…………すいません、先生。わざわざ……」



「いえいえ。あ、道案内よろしくな」



 ……あれから数分後。私は辻井先生の車の中にいる。



 理由は簡単。



 1人では危ないと言い続ける先生の熱意に負けてしまったから。



 そんなことを私以外の生徒にしたら女の子なら確実に先生に落ちてたね。




「……そういえば佐藤」



「はい?」



 道案内を終えゆったりとした雰囲気が流れていた車内に辻井先生の声が響いた。



 ふいに呼ばれたからちょっとだけドキッとしたのは気づかないふり……。
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