小さな恋の物語 *短編集*
「私は何も話すことなんてありません」



 こっちを向かず冷たく言う佐藤。



「佐藤。お願いだ」



 もう一度だけ佐藤の名前を呼んでお願いした。



 もしこの呼びかけに対して振り向かなかったら諦めるつもりで……。




 すると、さっきまでの威勢が緩んだ気がした。



 そして小さな声で「……分かりました」と言ってくれた。



 何だかんだ言って優しいんだよな……。
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