遠すぎる君

「これ、下手くそですけど使ってください。」

何度も編み直した濃紺の手袋。
結構な自信作となった。

「え?これ、手編み…?」

岸田先輩は驚いてまじまじと手袋を見ている。

「あ、あれ?そんなの苦手でした?」

いやいや!と大きく首を横に振る。

「こんなのもらっていいのかな~と…」

「ちょっと遅いけどクリスマスプレゼントなんですよ。
よかったら…です。」

先輩はじっと私を見つめて
「だったら俺からも…」

参考書やノートの入った鞄のポケット部分を開けて出したそれは小さなネックレスだった。

そして、真面目な顔で私を覗きこむ。

「こんな時期になんなんだけど、俺と付き合ってください。」

まるで告白と同時に握手を求めるテレビ番組のように先輩は言った。

まだ待ってくれてたんだ。
私は温かい気持ちでネックレスを受け取った。

遼の顔がどこかによぎったけれど、
私は口に出していた。

「私で良ければ……」

岸田先輩はとても嬉しそうに笑った。

そしてぎゅっと抱き締めてきた。

「あ~よかった~」

頭の上から聞こえてくる声に私も安堵した。

私はちゃんと居場所がある。
この人を大切にしなくっちゃ。

ふわふわしていた自分が落ち着ける場所を見つけた。

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