四色恋模様
「俺は…そう思わない奴もいるから」
小さな声でそう言ったせいの言葉に頭を殴られたような衝撃が走った。
舞花は特別なの?
色んな感情が溢れ出しそうになって唇を噛む。
「そうだね。そしたら私もそうだよ。結人の事はそう思わない。せいと舞花とは違うの。特別なんだよ」
半ばヤケになっていた。
俯いたまま一気に言ってやった。
どうやっても私はせいの隣にはいけないんだから。
それなら、結人を思いっきり彼氏としてせいと区別してやる!
「…お前、そんなに結人が好きなの?」
せいが聞いてくる。
俯いているから表情なんて分からない。
でも、声は静かで冷たかった。
コクっと何も言わず頷いた。
長い沈黙の後、「そっか」とだけせいは言って立ち上がった。
え…?それだけ?
思わず上を向くとせいはドアに向かってもう歩いていた。
「帰るわ…。じゃあな」
こっちを見ずに、せいはそれだけ言って部屋を出て行った。