四色恋模様



しどろもどろに答える結人を見て、せいはフッと笑うと


「そういうこと」


と言って結人の手を肩からはずした。


「え、え?そういうことって、どういう事??」



舞花が頭にハテナマークを飛ばしながらせいに聞く。



「知らなくていーの」



せいは面白そうに舞花にデコピンをした。





「ちょ、せい君?!」


頬を赤くさせた舞花はそっとおでこをさする。






幼馴染の四人だけど、一人一人が他の3人に同じ感情を持っているわけじゃなくて。


舞花みたいに、せいには私と結人には持っていない感情を抱いているみたい。




舞花がせいの事を好きだと言ったのはいつだったっけ?



小学5年生の時だっけな…。



「なな?」



名前を呼ばれてハッとすると、結人がこっちを見ていた。

「どうかした?」


目を丸くさせて顔を覗き込んでくる結人に首を振る。



「なんでもない!学校まであとどのくらいだっけ?」


とりあえず悟られないように話題を探した。


結人はう〜ん、と言ってスマホを取り出す。


「あと10分で着くでしょ」



じゃあ、もう20分は歩いてるんだ。

私達の通う桜第一高校は家から約30分のところにある。


本当は自転車通学にしようとしているんだけどボロボロだから買い換えようと思っている。







「せい君ともゆい君ともななとも同じクラスが良いな」



舞花がふわりと笑って私と結人とせいを見た。


「そうだな、四人で同じクラスだったらいいな」


そんなこと滅多に言わないせいが、空を見ながらぼんやりと言った。


賛同してくれたのが嬉しかったのか、舞花の口元が緩むのが見えた。







幼馴染だけど、微妙にずれてきた気持ち。
それは舞花だけだと思ってたのに。








こうなるなんて今の私じゃ分からなかった。






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