四色恋模様
学校に着くと正門前はザワザワと人で溢れていた。
「うわ〜すげーなー!これみんな頭いいんだろー?」
この高校は偏差値も高めの進学校で結人みたいなバカが入れることなんて奇跡に近いんだ。
「まぁ、少なくとも結人よりはみんな頭いいよ」
おなじみの台詞を結人に言ってフッと笑ってやった。
カチンときたのか、結人はムッとした顔ですかさずこっちに振り向いた。
「あのなぁ、いいか?俺はやれば出来るけどやらないだけだからね?」
「はいはい」
結人の面倒くさい言い訳は適当に流して下駄箱のある場所まで急ぐ。
「あー緊張するなぁ…」
前から不安そうな舞花の声が聞こえる。
「大丈夫だって」
そんな舞花を励ますようにせいが舞花に微笑むのが見えた。
………昔から思ってたけど、せいは顔もかっこいいし背も高いし優しいし…。
それなりに女子からの人気も高くて割とモテるんだけど、1回も付き合ったりとかしてないよな〜。
というか、好きな子とか聞いたことないし。
私は腕組みしながら前に並ぶ美男美女の2人を見ていた。
もし舞花とせいが両思いなら…もう四人でずっと一緒はムリかな…?
残されるのは、彼氏いない歴15年の私と馬鹿な結人か。
そんな未来を考えて私はガックリと肩を落とした。
「ん?ななどうかしたー?」
私が肩を落とした時隣から結人の心配する声がした。
「なんでもな〜い」
えへへへへ…と下手くそな笑い声でごまかしておいた。