四色恋模様



「そういえば結人って結局さ、真絵美ちゃんと別れちゃったの?」



ふと、中学の時に結人が付き合っていた女の子の事を思い出した。


真絵美ちゃんは吹奏楽部で明るくて元気な子だったな。



「え、まぁ…。3月の中旬ごろに…」



モゴモゴと話す結人の顔は気まずさと言うか、あまりその事には触れないでくれオーラが漂っていた。



「ふ〜ん、せっかく続いてたのにねぇ」


「それより、舞花は何なんだよ。ずっとせいの事が好きみたいだったのに中3で1回誰かと付き合ったよな?」




自分の話をしたくないがために結人は小声で舞花の方の話をし出した。


「まぁ…それはちょっとした気の迷いなんじゃないの?」



「え、いいのかよそれ」




さぁ?と肩をすくめて私はそこで話を切った。

舞花がせいの事を好きなのは大分前からだけど、1回だけ同じ中学の子と付き合っていた。
もちろん自分から告白した訳じゃないけど、舞花はokしていて驚いたのを覚えている。




「これで恋人いない歴15年チームは私とせいだけか〜」



しみじみとそう言うと前からブッ、と吹き出す声が聞こえた。



「ちょっと〜〜何笑ってんのよ、せい」



肩を震わすせいの背中に向かってひじで強くどついた。


「でもなぁ、せいはモテるからすぐ彼女とかできるだろ〜」


「なら中学でも作ったら良かったじゃん!!」



結人はケラケラ笑って私をバカにしてくるのですかさず言い返す。


「ねー、せいったら高校でも私と同じだよね〜?」



「え、恋人いない歴15年チーム?」



首を傾げて、ねー?なんて言ってみせるけど、相変わらずせいは可笑しそうに笑っている。


「そうだよ、勝手に裏切らないでね」


「いてっ」



バン!と背中を強く叩いて念を押しておく。


そうしてる間にも、クラスの書かれた紙の前に来ていた。
そこには沢山の生徒が溜まっている。



「ねぇ、結人。見てきてよ」

結人のブレザーの裾を引っ張って生徒の群れを指でさす。


「はぁ?!なんで俺が」



「小さくて中に入りやすそうだから?」



クスッと笑って結人を見ると、しょうがない、とでもいうように頭を掻いて一人生徒の群れの中に入っていった。


「よし、あとは結人に任せよう」


私は結人を待つために舞花達とは少し離れたところで立っていた。


「ね、あの子メッチャ可愛い」


「隣の男の子もイケメンじゃん!!」



すぐ隣でなにやらコソコソと話しているのが聞こえる。
大抵、こういう時は…



あぁ、やっぱりね。


すぐ近くにいた女の子2人が舞花とせいを見ていた。
仲良さそうに話す2人は、他人からみたらお似合いの美男美女カップルだろう。


本当、付き合えばいいのになぁ〜。



付き合う、という事を意識し始める中学生の頃からそう思っているのだけど…。


舞花も奥手でそんなに器用に自分の気持ち言える人でもないし。

ましてや、せいなんか好きな人がいるのかもよく分からない。
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