冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
「宿に着いたらすぐにシテも良い?」
亮介の吐息がそっと耳をくすぐる。
「な、なに言ってるのよ」
顔が熱くなっていくのが自分でもわかる。
「夏希の顔、真っ赤」
亮介はクスッと笑って私の目をじっとみつめている。
「宿に着いたら温泉に入って部屋でまったりしてさ。観光は明日ゆっくりするから…」
腕の力を緩めた隙に体制を立て直す私から視線を逸らし、少し頬を染めて亮介が呟く。
「…結婚式までずっと働き詰めで疲れてる…よね。うん、ゆっくりしよ」
「そうじゃなくて!」
私の方へ向き直り声を荒らげる。
「夏希との時間が足りな過ぎて…昨日だって…俺、式や二次会で呑まされてさ、家に帰ったらダウンしちゃったし」
そうだった。
一応、新婚初夜だったはずなのに、結婚式と二次会でしこたま呑まされていた亮介は、帰宅してほとんど意識もなく眠ってしまったのだ。
「新婚初夜にダウンって…情けないだろ。ごめん」
「え?気にしてないよ。仕方ないじゃん、二次会では私の会社の人もたくさん来てくれて亮介に逢いたがってたんだから」
「昨日のアレは地獄だった。大木さんと今日子さんの無茶ブリには困った。休む暇もなく次々と酒を注ぎに来られて倒れるかと思った」
私と亮介がこうして結婚できるまでをずっと見守って来てくれていた大木さんや今日子。
彼らが祝福してくれて私もとても幸せな気分だった。
彼らの洗礼を受けた亮介は、少し不満げに昨日のことを振り返る。
「だからさ…」
なぜか言いづらそうに視線をそらす。
「だから?」