冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


それは付き合ってるころの話。


一緒だった会社を辞め、龍之介さんのデザイン会社で働いていた亮介は、同じ会社にいた頃のようにスーツを着ることはなくシャツにパンツというラフな姿でいることが多かった。


ある日、会社の帰りに待ち合わせをして出掛けた時、カフェの店員さんに「弟」に間違えられた事がある。
確かに…姉の響さんと私は同い年。
姉弟と言われても…仕方がない。

店員さんは悪気もなく、ただ…


「仲が良いご姉弟ですね」


と・・・
いや、確か亮介が不機嫌になる気持ちもわからない訳ではない。
だって私達は刻印を入れてもらい出来上ったばかりの結婚指輪を店に受け取りに行き、眺めていたところだった。
注文を取りに来た店員さんは、指輪が目に入っているのにも関わらず、姉弟と思う方が無理があるのだけれど、


「姉弟じゃありません、婚約者です!」


と低く唸るように亮介が答えた途端、店員さんは真っ赤な顔をして「すみません」と逃げて行った。
注文も取らずに。


「姉ちゃんとペアリングなんて付けるかよ。どうかしてるぜ、あの店員」


そんなに怒ること?と思うほど、不機嫌になった亮介はそれから弟に間違えられるのを避ける為に、少し大人びた格好をするようになった。
それから年下というキーワードが遠ざけられているのは確か。
気にしなくていいのに。

私にとっては弟まではいかなくても、年下の可愛い夫だけどね。
そんなことを口に出したら、亮介が不機嫌なままになってしまっては困るので言わないけど。
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