冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
「亮ちゃ〜ん、久しぶり〜」
それはそれはとろけるような甘い声だった。
私は目の前の光景をただ立ちすくんで見ているだけ。
抱きつかれた亮介は、慌てることもせず、抱きついた彼女の腕を冷静に引きはがしていた。
「桃、暑い!うっとおしい」
え?知り合い?
「だって何年ぶり?卒業してから一度も逢ってないし」
やっぱり知り合いだ。
ただ呆然とその様子を見ていた私の腰をサッと抱き寄せ、その女性に私を紹介した。
「俺の奥さん」
亮介はいつも通り嬉しそうに私を紹介してくれるけれど、
「ああ、そうだった」
彼女は言葉と同様、あまり関心が無さそうに私に視線を向けた。
「中津川桃子です」
と言いながら、私の腰に当てている手と逆の亮介の腕に自分の腕を絡ませた。
「桃、うっとおしいから離れて」
いつもの亮介なら照れて逃げ腰なのに、彼女に対しては何だか様子が違う。
あからさまに彼女を追いやっていた。
「え〜?良いじゃん、久しぶりなんだから」
と、久しぶりにホンモノの猫なで声を聞いたなと思っていたら、もうひとり、図体の大きい男性が近づいて来た。
「桃子、いい加減にしろ。亮介が困ってるだろ」
「将司くんには関係ないもん」
フンと鼻が鳴ったんじゃないかと思うほど、突如表れた男性に悪態をつく。
この人間関係が読めずに、ただ目の前の出来事を見ていた私に亮介が説明をする。