冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
「桃は前だろ」
そう言う亮介を無視してビクとも動かない。
「悪い、亮介、後ろに3人がキツかったら、お前は助手席に乗ってくれ」
桃子さんの行動は無視して男性が言う。
「え〜、亮ちゃんは後ろ〜」
と駄々をこねた桃子さんに亮介が声を荒げる。
「うるせーよ」
珍しく不機嫌さを隠さずに亮介が言葉を吐いた。
そんな亮介を見るのも初めてで、この3人の関係性がまだわからない。
いったいこのワガママお嬢様は誰なんだろ?
と思っていたら、渋々、助手席に乗り車が走り出した頃、亮介が後ろに乗ってる私に説明してくれた。
「夏希、うるさくてごめん。こちらが遠藤将司(えんどうまさし)さん。大学の時の先輩」
そう言いながら運転をしている男性を差す。
「で、こっちが中津川桃子(なかつがわももこ)。今夜お世話になる“旅館・中津川”のひとり娘」
「え?あの老舗旅館の?!」
「そう。行き先が熱海って事になってから、すぐに連絡して予約したんだ。そしたら一番いい部屋を抑えてくれた」
「あ、ありがとうございます」
私は後部座席で隣に座っている桃子さんにお礼をいう。
「全然!亮ちゃんの頼みだもん」
私の顔を一切見ず、助手席に座っている亮介の肩をポンポンと叩いている。
なんか…面白くない。
「桃子は大学の時から亮介が大好きだったもんな」
運転をしながら遠藤さんが言う。
仮にも桃子さんはあなた婚約者ですよね?