冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!


「はぁ…先輩、俺が新婚なのわかってます?要らないこと言わないでくださいよ」

ハハハハと笑う遠藤さんは体と同じように豪快な笑い声だ。
熊みたいに大きな人で、よく見ると日本人離れした彫りの深い整った顔をしている。それに自然に安心できるような雰囲気を持っていて、結婚したら絶対に良い旦那様になるはずだ。と私は思うのに、なんで桃子さんはあんなに遠藤さんを拒否しているんだろう?


あ…もしかして…亮介を好きだとか?


横に座っている桃子さんを横目で盗み見る。
お嬢様だけあって上品な可愛らしさが滲み出ている。
着ている洋服だってシンプルなのに素材の良いシルクのカットソーが品の良さを漂わせている。
亮ちゃんと亮介を呼ぶ声も甘くて可愛らしい。


私と正反対だ。
結婚しても、こんな心配事が出て来るなんて。
始まったばかりの新婚旅行。前途多難な予感しかしない。


そう思ったらおしゃべりすることが億劫になる。
そんな私とは正反対に、桃子さんは助手席に座っている亮介の肩や腕をやたら触ってキャッキャと話しかけていた。


話の内容は3人の共有した時間。
大学時代の話題だ。
私は蚊帳の外。


亮介の大学時代の話はもちろん聞いてはいるけど、当時の時間を共有している3人の話題にはまったくついていけない。
桃子さんが亮介に気があった、もしかしたら元恋人同士だったのかもと言う疑問だけがモクモクと頭の中を支配し始め、胸がモヤモヤする。


響さん曰く「冴えない男だったから、彼女がいたのかも疑問」と言う姉の意見はまったく当てにならず、大学時代も亮介の周りには女子がいたような話の内容。でも一番近くにいたのは自分だと主張する桃子さん。
それを話に入る訳でもなく、ただ笑って頷きながら遠藤さんは運転していた。


なんだ、この関係性は…


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