冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
転びそうになった私を支えてくれたのは遠藤さんだった。
彼の胸に背中が当たり、そのまま抱きかかえられている形になった。
「あ、すみません」
咄嗟に離れようとしたら、後ろからお腹に回されていた将司さんの手に力が入る。
「えっ?」
身動きできない。何のイタズラ?と無理矢理に遠藤さんから体を離そうと身をよじると亮介の腕が伸びて来て、グッと引っ張られた。
さっきまで私をからかうように悪い顔をしていた亮介が、今度は真顔で遠藤さんに冷たい視線を送る。
「先輩、もうそう言うの面倒だから、そっちで解決して下さい」
亮介の言ってる意味が私にはわからずにいると「ハハハ」とやっぱり豪快に笑って何も無かったように遠藤さんは私から離れて行った。
その一部始終を車から降りていた桃子さんが唇を悔しそうに噛み締めていたことなんて、まったく気が付いていなかった。