冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
「先輩、やり過ぎ」
唸るような低い声が密着した背中に響く。
「ハハハ」
また豪快に笑って、今までの遠藤さんと雰囲気が一変した。
「夏希も…無防備すぎるだろ!隙があるから良いようにされるんだよ」
そう言いながら、私の濡れたシャツを見て「はぁ…」と大きくため息をつく。
すぐに羽織っていたシャツを脱いで私を包んだ。
「ごめん」
消え入るような声でつぶやいた私に亮介の低い声が響く。
「なにしてんの?こんなところで」
「…えっと、あの…」
亮介と桃子さんの話を聞いて、逃げ出したなんて言える訳も無く。
あ、でも、これから先、長い時間を亮介と共に生きていくんだから、言いたいことをちゃんと言わなくっちゃと思い直す。少しの間を置いて正直に話した。
「あの…さっき桃子さんと話しているのを聞いちゃって。聞いちゃいけない話のような気がして」
「はぁ…また早とちりして逃げたんでしょ」
「あ…うん」
「どうしてその時に声を掛けないの?俺、そんなに信用されてないのかな」
「そういうんじゃない!ただ…桃子さんと話す亮介は私の知らない亮介で…なんか…違う人みたいに見えて」
「見えて?」
「ちょっと淋しかった」
「ふ〜ん、それで?」
そう言いながら濡れた私の髪の毛をそっと撫でる。
もう苛立は消えて優しい目だ。
「ヤキモチも」
「ん?」
聞こえているくせに私をからかう。
「もう!」
亮介を睨みながら胸を叩く。
「ははは…やっぱり俺の奥さんは可愛いな」