モンスターガール~彼女はいつもカメレオン~
「あ、うん。でも私カラオケ苦手なんだ」
「うん。でも決まったから」
「……」
まぁ、いっか。
歌わなかったいいんだから。
ネコはなんだか無表情で歩く。
もしかして、断れない性格で本当は行きたくないとか……?
じゃあ、私がネコをフォローしてあげなきゃね!!
ネコはずっと無口で、心配になった私はネコに聞いた。
「ねぇ、本当は行きたくないとか?」
「……?なんで?」
「ずっと無口だから」
「……。今パワー貯めてんのよ。男と遊ぶとパワー使うからね」
「……」
なんかよく分かんないな。
「で、何時に待ち合わせてるの?」
「十一時」
私は携帯で時間を確認する。
11:21
えっ?
「十一時?十一時ってもう過ぎてんじゃん!」
「いいの、いいの。誘ったのは向こうなんだから」
ネコは無表情でそう言うと携帯を確認した。
「……。『本当に来るの?』だって。うっざー」
“うっざー”って……。
「遅れるってメールした?」
「してない」
「……」
連絡なくこんなに遅れたら、メールも来るって!
そして花丘のカラオケ店に着いたとき、男子がふたり立っている姿が見えた。