イジワル上司と秘密恋愛
「え?」
木下くんの言葉に驚いて顔を上げる。
彼は真剣な表情でこちらを見据えていて、今の言葉がふざけた発言ではないことが伝わってきた。
「今の仕事が楽しいのは分かってる。だから、今すぐじゃなくてもいい。けど……いずれはこっちに戻ってきて東京に永住するのは……考えられない?」
「それって……どういう意味?」
聞き返してしまった私に、木下くんは一度きゅっと唇を噛みしめてから改めて口を開いた。
「もし良かったら、東京で俺と暮らして欲しい」
「……っ!」
驚きのあまり、息を呑んで声が出なかった。
まさか、そんなことを言われるなんて。
驚いて目を見開いている私に、木下くんは視線を逸らすことなく話を続ける。