エンディングは”そこ”じゃない……
彼は営業職だったので自宅の近くで仕事がある時はお昼休みを利用して家に帰って来ることが度々あった。
まだ眠ってばかりいる息子を愛おしそうに見つめたり、無理やり抱っこしたり、食べそうな勢いで体中にキスをするのを見ていると息子がちゃんと愛されていると実感が湧いてくる。
そんな彼がポロリと漏らした本音にカチンとくることもあったけど……
「鼻だけは俺に似なくて失敗だったなぁー」
「どうもすみませんね。私に似て鼻が低くくて……」
男の子は母親に似ると聞くから私に似ていても可笑しくはない筈だ。
輪郭、額、眉、目元、口、全体的には彼のDNAで構成されている息子なのだが何故か?
鼻だけは私に似てしまった。
私の顔には合っているのか、この低い鼻を気にした事は無かったけど……
彼の顔に私の鼻が付いた息子の顔はちょっと笑えるのだ。
うん。癒し系って事にしておこう。
しょうゆ顔、ソース顔、塩顔なんてのもある。
きっと息子の顔の時代が来る……筈だと信じたい。