エンディングは”そこ”じゃない……
息子の誕生日から半年後のこと
彼の転勤が決まり私たち家族は引っ越すことになっていた。
可愛い盛りの孫が簡単に行き来出来ない場所に行ってしまう事を両家の両親共にとても残念がっていたけど、彼と私は新天地での生活が楽しみでワクワクしてたんだよね。
転勤先へ部屋探しに行く前日。
先ずは彼の両親に挨拶に行くとお姉さん夫婦に甥っ子君たちも集まっていて皆でオードブルを囲んで歓談してから息子を預かって貰う為、私の実家に向かう事になっていた。
「頭が痛いんだけど、痛み止め持ってたよね?一つ頂戴」
私の実家に向かう直前に彼から痛み止めが欲しい言われて、
冷水器から冷たいお水をグラスに注ぎ2錠の薬と一緒に手渡した。
「ありがとー」
その場で飲んだ彼はいつもと何ら変わらない様子に見えていたのに……
もうその時には彼の頭の中では大変な事が起こっていたらしいと分かったのは彼が救急車で病院に運ばれた後の事だった。
彼の運転する車に乗り込み私の実家まで約30分のドライブ。
その時もまだ私は彼の異変に気が付かない。
車をいつもの場所に駐車してから実家の玄関先に到着したら急にドサッと音がして振り向くと彼が倒れていた。
「おかーさん、おかーさん大変……彼が彼が倒れた……」
急いで玄関に走って来た母に息子を預けて彼の頭を抱きかかえて呼びかけるけど何の反応もなくて怖くなる。
「おい、頭を揺らすんじゃない。頭を打ってるかも知れないから動かさないようにしなさい」
父が冷静な判断で直ぐに救急車を呼び、彼の実家にも連絡を入れてくれた。