エンディングは”そこ”じゃない……
私たちが到着した時間から差ほど間を置かずに彼のご両親にお姉さんたちが駆け付けた。
医師からの説明があると通されて部屋で宣告されたのは私たち家族から希望の目を摘む言葉だった。
「検査の結果……くも膜下出血だと思われますが手術が出来ません。
残念ながら生存確率も30%あるかどうか大変厳しい状況です」
「うそ……そんな訳ない。だってさっきまで元気だったもの……」
絶叫に近い声で医師に食って掛かる私をお姉さんが泣きながら抱きしめる。
先生の言っている言葉の意味は分かるのに……全然呑み込めないし理解しようなんて思わない。
『彼は絶対に治る。
私と息子を残して死んだりしない』
ずっと頭の中でこの言葉だけをひたすらに唱え続けていたのに奇跡は起こってくれなかった。
沢山のチューブに繋がれた青白い顔の彼は私の知っている彼じゃなくて……
私が目を瞑っている間に天国へと旅立ちそうで眠る事が怖くなる。
ずっと彼の傍を離れたくないと思っていても、
まだ1歳半の息子を母に預けてばかりも居られなくて、お姉さんと交代で実家へ仮眠に帰る。
母は心にムチ打って私に厳しい言葉をかける。
「看病には体力がいるの……眠れないのなら無理してでも食べなさい。
あなたが倒れたらどうするの?
さあー口を開けなさい」私と母は泣きながら一緒に食事をした。