エンディングは”そこ”じゃない……
入院から一週間後……
彼は私たちが彼の死を受け入れる時間の猶予だけを残し安らかに天国へと
一人旅立って行った。
お義母さんが最後に彼に掛けた言葉。
「人様を事故に巻き込まず、愛する妻と息子の命をちゃんと守ったのは偉かったね」
愛おしそうに彼の顔に触れながらそう言ったのに……
私の思いは違っていた。
確かに事故で人様を巻き込まなかったのは良かったと心から思うけど……
『私と息子は一緒に連れて行って欲しかった』
彼は何も悪くないのに……
私は心の何処かで彼を恨んでいたのかも知れない。
子供が出来たことが切っ掛けだったからプロポーズの言葉はなかったけど
「あぁー幸せだな……もっと幸せになろうな」
彼が度々口にしていた言葉がその時の幸せそうな笑顔と共に思い出されて胸が苦しくなる。
『私はちっとも幸せじゃないわ。
これからどーやって幸せになれって言うの……
悔しかったら化けて出ても良いから姿を現しなさいよ』
幽霊でもゾンビでも何でもいいからもう一度彼に会いたかった。