もう一度君を  この腕に
「酒井さん、このあとご予定ありますか?」

「今何て言った?」

「私たちとカラオケに行きませんか?」

私たち?

僕は回りにいる女子社員に初めて目を向けた。

「悪いけど予定があるんだ。」

明日はデートだ。

カラオケなんか行ってらんない。

「じゃ、今度女子会に来てもらえませんか?」

「僕が?」

「はい。」と全員が声をそろえて返事をした。

「悪いんだけどそれはパス。」

「じゃ、プールに行きませんか?」

「プール?」

プールなんか小学校以来行ってないし

興味ないし。

僕は彼女たちにしつこく口説かれて

うんざりしていた。

「ホント悪いんだけど、またにしてくれないかな?」

「残念~!皆行こ。」

5人はバラバラと違うパラソルへ散った。

付き合い悪いと思われたかもしれないが

僕はどう思われようと構わなかった。

肝心の木村が捕まらないのだ。

思い切ってリビングへ行くしかない。

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