もう一度君を  この腕に
「まず、軽く掃除だな。」

後日残りの荷物が届くはずだ。

遠路で疲れていたにも関わらず

俺は手早く片付けて近くのコンビニで買い出しした。

シャワーを浴びて買ってきた缶ビールをグッとあおった。

「やっぱり日本のビールは美味いよな。」

俺はデスクでイラストのラフを仕上げた。

ビューティー・ダイバーには俺なりのリクエストを出すつもりだ。

昨夏のモデルと同一人物だとは思えないようなイメージにしたかった。

「顔出しはNGか。その分とことんボディを使ってやろうじゃないか。」

俺は前回のポスターを眺めた。

モデルのボディにピシッと張り付いたダイビング・スーツと

水しぶきに力強いものを感じさせる画だ。

今季は真逆だ。

スーツは胸元のファスナーをギリギリまで開けて

砂の上に座らせて脚を組ませ

腕は膝にしな垂れかけさせて

首を仰け反らせたまま顔を後方へそむける。

首筋には頭上からサラサラと白い砂を注ぎ

その全てをCGで海中に設定して

動画は海水を蜜のようにうねらせる。

俺はそこまで進めてパソコンを閉じた。

明日一日フリーだ。

そう思ってベッドに身を投げた。

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