思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中



「じゃあまずはじゃんけんね。勝った人から時計回りで良いよね?」



夕の合図で一斉に片手を出した。



じゃんけんで勝ったのは透だった。




順番は、透、真、夕、私、蒼空となった。




同じ番号のものを省いても私の手札は8枚と、少し多めだ。




ちなみにババは持っていない。


「どーれーにーしーよーうーかーなっ。これだっ」




今は夕が私のを引く番。




ババを持っていないわけだから別にどれを取られようと構わない。



そして次は私が蒼空のを引く。




少し悩みながらも右端の一枚引く。




蒼空の表情を見てみるけれど、表情がないその顔では全くわからない。




引いたトランプを夕には見えないように自分の手札に入れ、ペアがないか確認しようとするけれど……。




そのトランプにペアはない。




なぜなら、もう一枚は始まる前に既にはじき出されている、ババなのだから。




夕が早く引いてくれることを願おう。





「あ、ペアあった」




蒼空の手札が既に残り3枚となっていた。




「蒼空はやっ!」




「俺も残り4枚だ」




「真も!?僕まだ6枚もあるんだけど!」




「私もまだまだ……」




「俺もまだ5枚」




そして第二週目……





「ぐぬぬ……これ?いやこれか?」





夕が真剣な顔で悩んでいる。



その表情が少し面白い。



「夕、早くして」


少し待ちくたびれた。


「待って。あ、これ?」




カードを選びながら私の顔をチラチラとみて様子をうかがってくる。




どうやら私がババを持っているのがバレたみたい。




「優那ちゃんポーカーフェイス過ぎてわかんないよ」




「早く選んで」




内心、早くババを引いてくれないかと必死なのだけれど。





「えい、これだ!ってああああ……」




夕が残念そうな顔をする。





つまり、ババを引いたということ。




ふう。





これでひとまずは安心だ。





もう回ってきませんように。




そう祈りながら私は蒼空のを引く。


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