思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中



「うっわー、いっぱい水着があるね」





バスに揺られて15分の場所に、大きなデパートが存在した。





初めて知った。





そして今、さっそく水着コーナーに居る。





「どれにしようかな」





4人とも、水着を持っていないみたい。




はぁ……。



私も選ばなくてはいけないのかと思うと、かなり憂鬱だ。




「これにする」




目についたもの、というくらい素早い即決力の蒼空。



でも、夕がそれを許さなかった。




「んー、蒼空はこっちの方がいいよ。ね?」




「じゃあ、そうする」




結局のところ、蒼空は着れればどれでもいいらしい。




「俺は………これかな」




「流石、透はセンスあるよね。僕はどれにしよう………」




夕は真剣みたいだ。




これも、あれも違うと鏡で自分に重ねてみては別のにして…………と、相当悩んでる様子。




ここは一つ、救いの手を差し伸べてあげよう。



「夕、迷ってる?」




「うん。どっちがいいかな?」



黄色かオレンジ色。




どっちかと言うと夕はレモンよりオレンジ的な?




「オレンジの方が似合う」




「うん、じゃあこっちにするね」




夕はありがとう、と私に言ってレジへ向かった。




そして、まだ買っていないのは真だけになった。





「真、まだ悩んでるの?なら僕が選んであげるよ」



レジから戻ってきた夕。



「お、おう」




「はい、これ」




「さんきゅ…………ってこれ、ブーメラン型じゃねーかよ!こんなもん履けるか!」



「あはっ」




「あはっ、じゃねーよ。真面目に選べっつーの」




「真、これでも履けば?」




蒼空が真に差し出した水着は意外とまともだった。




黒に赤のラインが入ったかっこいい水着。




「蒼空にしてはなかなかいいやつ選ぶじゃねーか」




少し上から目線で、蒼空からその水着を受け取った。




「感謝して」




「くっそ、言い方ムカつくな。でもまぁ、ありがとう……」




二人の距離が少しだけ近づいた気がした。



実際、どうだかわからないけど。






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