思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中



目をぱちりと開くと、寝た時と比べて辺りは明るくなっていた。



まぁ、朝だから当たり前なのだけど。



「んん……」



窓から差し込む日差しが眩しくて、目を細める。



寝起きの気だるさはあるけれど、昨日よりも断然体が軽い。



寝間着からラフなTシャツと短パンに着替え、寝癖のついた髪をブラシで梳かしてから部屋を出た。



1階の広間がバタバタと騒がしい。



どうせ、夕辺りなのだろうけど。



広間に行くと、案の定夕が走り回っていた。



真は、ソファに寝転んで、騒ぐ夕なんて気にもとめていなかった。




「夕なにしてるの」



「あ、優那ちゃん、おはよう!僕は今ね、アレを追いかけてるんだよ」



「アレ?」



「アレだよアレ。そこに居る鳥だよ」



夕が指さす方向には、呑気に天井柱で佇む小さなインコ。



「このインコどうしたの?」



「朝起きて、窓開けたら入ってきたんだよ。
流石に野生ではないだろうし、誰かが飼ってたのが逃げ出したんだと思うんだ。
だから、捕まえておこうと思ってたんだけど、なかなかすばしっこくてさ」




「ふーん」



じっとそのインコを見つめると、インコは首をかしげながら、なぜか私に近づいてきた。



だから私は、手を差し伸べた。



「チュン」



ひょいと、私の指に乗った。



なんだ、人懐っこじゃない。



「な、なんで!?」



「誰だって、急に追いかけられたらびっくりして逃げちゃうよ」



「そ、そっか……ごめんね、インコさん」




「あれ、皆早いね」



すると、透がやってきた。



後ろには眠そうな蒼空も連れて。



「インコ……?」



「エリザベス!」


指に乗るインコがそう鳴いた。



「エリザベス……?名前かな」



インコって教えれば言葉を覚えるんだよね。



一番覚えやすいのは、いつも呼ばれる名前。



「迷い込んできちゃったんだね…………飼い主さん、この近くに住んでる人かな」



「エリザベス…………エリザベス?あ!」




「どうしたの、蒼空。何か、知ってるの?」




「うん。昨日電柱に貼り紙があって、ペットの捜索願の概要と、そのインコの写真があった。写真撮っておいたんだけど…………ほら」



ポケットから携帯を取り出すと、撮った写真を私たちに見せた。



首元は白く翼は水色、頭は黄色で頬は赤い。



一番の特徴は、胸にハートマークがあること。


確かに、このインコにもハートマークがある。


特徴は全て一致していた。



「じゃあ、このことのことなんだね!早速電話してあげようよ」



「うん」



「俺がかけようか?」



透が不安そうに尋ねる。


心配性だ。



「大丈夫、電話くらいできる」



「そ、そうだよね」



時刻は既に9時近い。



相手も起きているだろう。




「あ、突然すみません_____」



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