思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
彼に着いていくと、言っていた通りそこには彼を除いて15人ほどの男女が居た。
「あ、前島。言った通りナンパしてきたか。それにしても、よくお前なんかに捕まったよな。どんな奴なん_____え?」
茶髪の人が、私と夕を見て驚く。
「ええと、こちら凪宮先輩と水無月先輩です」
「どうも」
「どーも」
夕は不服そうに口を尖らせている。
私達の名前を聞いた他のメンバーたちも、こちらを見て目をぱちくりとさせた。
中には、青ざめる人まで。
特別寮の人たちって、どれだけ有名なんだ。
私もその中の一人となってしまったのだけど。
「あ、あれって、特別寮の水無月先輩よねっ!?」
「きゃー!水着姿みられるなんて恥ずかし~!」
「水無月先輩がいるってことは、他の3人も!?」
数秒後、女性陣が一斉に騒ぎ出す。
「前島、お前どんな手使ったんだよ」
さっきまで威勢の良かった茶髪の人の顔が一気に青ざめる。
「たまたまなんだって!たまたま声かけたのが凪宮先輩だったんだよ!」
「だからって、なんでこっちの先輩まで。しかもなんかすんげー機嫌悪いし」
「ねえ」
夕が、不機嫌そうに尋ねる。
「な、なんでしょうか!」
ビビりながら、茶髪の人が返事をする。
「もう、これでそこの人はアイスを買わなくて済むんだよね?」
「そ、それは勿論!」
「なら、僕達戻ってもいいよね?」
「は、はい!」
「なら戻ろう、優那ちゃん」
そっと、夕が私の手を掴む。
「う、うん」
これで良かったのかな。
でも、なんだか男性陣は夕の顔見て青ざめてたし。
早く去った方がいいのかな。
「あの、本当にありがとうございました!」
「ううん、じゃあまたね」
夕に手を引かれながらも、彼に手を振ってあげた。
なんだかいいことをした気分だ。
「なぁ、あの2人って付き合ってるのか……?」
茶髪の人がそう訊く。
「さあ、俺に聞くなって。でも、凪宮先輩可愛いし、特別寮の4人誰かとは付き合ってそうだよね」
「本当、あそこの”王子様”たちが羨ましいぜ」
そんな会話が背後でされていたのを、知る由はなかった。