思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
夕のパーカーを羽織ると、ラムネの瓶を片手に蒼空の元へ駆けつけた。
「おかえり、優那。夕とどこに行ってたの?」
「飲み物、買ってきたの」
ちょんと瓶を蒼空に押し当てた。
「俺に?」
「うん。ずっと何も飲んでないでしょう?だから……」
「ありがとう、優那」
ふっと微笑んで、私の頭を撫でた。
瓶の口を開けると、一口飲んでから私にも飲むように促してきた。
「優那もちゃんと飲まなきゃ」
「っ……うん!」
喉を通る炭酸の刺激が堪らない。
「ね、おいしいでしょ?」
「おいしい。久しぶりに飲んだかも」
瓶のラムネが飲めるのって、こういうところばかりだもの。
「ラムネって、なんとなく夏祭りのイメージ」
確かに、どこのお祭りでも屋台にラムネは売っているものだ。
「夏祭り……」
ここ数年、行っていない気がする。
事故以来、何故か両親も夏祭りの話題は持ち掛けてこなかった。
「蒼空は夏祭りとか行くの?」
「昔は行ったことある」
「昔は?」
「今は、もう行かなくなったから」
「そっか」