思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中



夜、透が作ったピラフを食べた後、今日は温泉には行かずお屋敷のお風呂に入った。



「ってことで、今日は花火をしたいと思います!そして、花火が終わったら、最後に肝試し!」



夕はどこからとなく、いつの間にか買っていた花火を取り出した。



「肝試しとかどこでやるんだよ。足場が悪いところは危ないからやめろよ?」




「大丈夫だって!!いい場所があるんだよ。とりあえずは花火やろうよ。」




お屋敷を出て、海の近くで花火をした。




小さな打ち上げ花火をしたり、手持ち花火を振り回したり…………振り回していたのは主に夕と真だけど。




最後は静かに線香花火を楽しむ。





「あーあ、終わっちゃった……でも、まだ最後に肝試しがあるもんね!」



夕はとても楽しそうだ。



辺りは随分と暗く、夏の夜の肌寒さが肝試しには最適だ。



夕が言う、肝試し場所に案内される。




「ここ、が……?」



透がその場所を見て少し驚く。



「ここって、神社だよな?」



「広そう……」


蒼空が言うとおり、私達が来た神社は意外と広い。



「真っ暗で何も見えないよ?」


一つも灯りが無い。


「そのための懐中電灯だよ」



夕の片手には、小さな懐中電灯が光る。



それを持って行くというわけか。



「皆で行くの?」


特にペアは決めてないし。



「いやいや、ちゃんとペア分けはしますとも。じゃあ、この紐のどれかを引いて?」




夕の手から、適当に一本紐を引く。




懐中電灯の光に照らされて見える紐の先についた色は、赤色。



「赤…………か」


真がボソリと呟く。


「もしかして、真も?」



「ああ。ってまさか、お前とか?」



「うん」



「マジかよ……」



何だか嫌そうな顔をしている。



ペアは、夕と透、私と真、そして蒼空が1人となった。



5人だから、必ず1人余るのは分かっていたけど、蒼空なら大丈夫そう。



今だって、1人になったというのに、平然としてるし。



これが、もし夕なら、絶対に慌てていただろうに。



「まずは僕たちが行ってくるね」



境内の入口から入って、鳥居の向こうにある祠に御参りをして帰ってくるだけ。




だけど、意外と鳥居が長く、灯りも懐中電灯一本しか無いため、結構怖いらしい。




夕と透が帰って来たのは、それから10分後のことだった。





夕はニコニコしているけど、透の顔からは血の気が引いていた。




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