恋色キャンバス~君がおしえてくれた色~
会場に着くと、


「ほら、ヒーくん、こっち」

「カナ兄、僕、食事会って聞いてたんだけど、何でパーティー会場に連れてこられたの?」

「それは、ガストン・ル・ビアン主催の
パーティーだから」


聞いてないんだけど、食事会なら、
少人数だから話せるけど、
パーティーは大人数だから、
話せないんだよ。  

それに。

 
「ル・ビアンさんが此方来てるって、
知らなかったんだけど」

「だって、行ってないもん。
こうでも言わないと来てくれないだろ」
 

また、騙された。

ガストン・ル・ビアン

フランスに住んでいる、デザイナー。

世界的にも有名な男性で、僕の絵をえらく気に入ってくれたみたいで、
日本に来ると必ずパーティーを開く。

そして、食事会と言われて
ル・ビアンさんのパーティーに呼ばれる。


「ヒーくん、ル・ビアンさんは
大事なお客様なんだって、それに面白い人じゃん」

何処が、ただの変わり者じゃないか。

 実は、苦手だったりする。

その理由は、後々分かる。



     パーティー会場へ。

「あっ、父さん」

「おっ、来たか、要、聖」



僕を引き取って育ててくれている。

御木 政樹(ミキ マサキ)

画廊をしている。



「なんだ、聖、その膨れっ面は、可愛い
だけだぞ」


こいつ、完全に舐めてやがる!


「父さんが悪かった。
でも、聖もこのてに何回、引っ掛かってるんだ」

「どうせ、騙されやすいですよ」

 
もう、父さんなんて嫌いだ。


「機嫌なおして、ヒーくん、フフッ」


全くカナ兄まで。


「あっ、そうだ聖。
ル・ビアンさんがパリからスイーツ持ってきてくれたらしい」


スイーツ!!!


「あっ、反応した」


ケーキ、マカロン、カップケーキ。
どれかな、どれかな♪


「父さん、ヒーくん、凄い、喜んでる」

「甘いもの好きだもんな、聖は」

「甘いものがあれば簡単につれるの
間違いだろ」

「そんなこと言うと聞こえるぞ」


甘いもの、甘いもの♪


※本人には聞こえていない。


「ほら、此方」

「うん!」

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