最期
父は亡くなり、その真相をもう聞くことはない。


きっとまだまだ父の後ろ姿から学ぶことがあったと思うのに、それが出来ないことが悔しかった。

喪主である母の言葉は、すごく立派で……


俺らよりよっぽどしっかりしていたと思う。


これからは母をしっかり支えていかなければならないというのに、俺たちはまだまだ子供なんだと思い知らされた。


父は幸せだったろうか?


この家は父に安らぎを与えられていたんだろうか?


仕事に生きた父の、尊敬する部分はやはり仕事に対する姿勢で、俺たちも父に負けないよう、しっかり働かなきゃならないと思う。


――父さん、ちゃんと見てろよ?


俺たちは、遺体が焼かれるのを待ちながら、父に負けない人生を送ることを胸に誓った。


いつか父さんを越えてみせる。


そんなことを思いながら……
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