阿漕荘の2人
第3章 ミステリアス

森川くんの休日

練無side


本日僕はお友達の森川 素直と
レストランに来ています


森川くんはマカロニサラダとマルゲリータ、そしてドリンクバー

僕はほうれん草とベーコンのソテーと
グラタンとペペロンチーノと
ティラミス
そしてドリンクバー

とても、美味しいです
「小鳥遊……人の金だと思うと
よく食うね……」

「世の中ね
簡単にタダ飯にありつけるほど
安くはないんだな、うん

僕は、目の前に転がった絶好の機会を
そうやすやすと逃すわけにはいかないんだよ」

今日はなんと
まぁ、あの森川くんに奢って貰ってるのです

「これは歴史的な事だよね
少なくとも僕のなかでは

ベルリンの壁の次に来る大ニュースだよ」

「なんの話?」

「僕ときみの話」

「僕の中学ではね
給食に2週間に一度のペースで
アルファベットの形をしたマカロニが入ったトマトスープがでたんだよ」
「それは素敵だね

ひらがなは大抵が一文字ではないから
マカロニにすることは
できないもんね」

「僕ね、なんでアルファベットなんだろって

ずっと疑問に思ってたんだ

だっさぁ
マカロニ多すぎてほとんどが
固まってるの


それに中学生にもなって
アルファベットはないだろう?
そんなのみんな知ってるよ

ギリシャ文字とか象形文字とかにすれば
もっと
面白いのになぁって」


「 なんの話」

「キミと僕の話」


「僕にケンカ売ってるの」

「ハフ トゥー マッチ?」


「物価による」

「小鳥遊くんは無駄が多すぎるんだよ

それじゃ、香具山さんは

絶対にきみの気持ちには気づかない」


森川に先日のデートの話をしたのは
間違いだったかもしれない

「しこさんが鈍感なんだ
かんどん、かんどん」

「そういう祭りがあるの?
ナマハゲ出てきそうだね」

「生ハゲ?生ハム?生タマゴ?」


「早口言葉?僕でもいえるね

だからね、もっと鋭く核心に迫るべきだよ」

「しこさんは
残念なくらいに
僕のこと、友人としか見てないんだ

悲しいね、れんちゃん」


「そういう歌がある」

「外人さんに連れられて行っちゃった?」

「バナナが好きな女の子の話」

「日本人は平均して週に2本のバナナを食べるんだって」

「それ本当?」
「うん
365を7で割ると52くらい
つまり年間約
100本のバナナをたべる

日本の人口を15000万人とすれば

年間で1500000万本のバナナが消費されるね」

「なんの話」


「キミと僕の話」



「香具山さんのタイプは?」

「しらないよ、そんなの」

「好きな人いないのかな」

「知らないよ、ねぇ森川、
取らないでね」
「キミの物じゃない」

「……。」

「大丈夫だよ、香具山さんには何も感じない」

「それも複雑だなぁ」

「ところで
そろそろ、本題に入ろうか?」


実は今日の僕は

オレンジのスカートに
ボーダーのカットソー

ポニーテールの女の子バージョン


「今から、僕が森川くんの両親に会って

彼女の振りをすればいいんだね」

森川の両親が

森川に恋人がいないことが

気にかかり
お見合いを勧めてくるらしい


20歳ぐらいの学生に
恋人がいないなんて普通だと思うが


「森川家はみんな早いうちに恋愛に目覚めてね
だからね、僕みたいにゆっくりしたペースの奴がいると
気が気じゃないんだ」

「お腹も満たされたし、

さぁ行こうか」


2人はレストランを後にした
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