阿漕荘の2人

聖カトレシア学園 7

練無side


聖カトレシア学園 高等部

ほとんどが中学からのエスカレーター式に上がってきた

日本を代表するお嬢様たちだ

神戸を含む関西にとどまらず

北は北海道、南は沖縄まで

全国から集まる

そして、その学園内で一際大きな

赤煉瓦のオランダ建築を題材にした

建物

それが高等部だ


「すごいね、学校とは思えないよ


なんで廊下に街灯があるんだろう」


「今、生徒たちは記念会館の方で

今夜のダンスパーティーの準備をしてい

ます

よってこの高等部内には我々と執行部し

かいません」


「先生は?」

「この学祭は教員は関わらないようになっています

生徒だけで準備を進めるんですよ

よって教員は教員館の方または

来賓客の接待をしています」

「ふーん、学祭ってそんなにすごいんだー」

「えーまぁ、
なんせ聖カトレシア学園は入ったら

もはや、牢獄

両親とも面会は出来ません

両親に会えるのは学祭の中でも

一般客をお招きする3日間の文化祭のみ」

「それは………
加えて、鉄の塀でしょ

そんなのでストレス溜まらないのかな?」

「ええ、ですから

ほとんどの生徒は幼稚舎、小等部から

この学園に入るのです


世俗を知らない私たちは

ストレスを溜めようがありません

此処しか知らないのですから」



「それじゃ、しこさんは珍しいタイプなの?」

「ええ、滅多にいませんよ
高等部からの入学なんて……


それに、学園が認めませんよ

一度でも欲に塗れた生徒を

この学園に入れれば

問題を起こしかねませんからね」


清見の言うことは
なんとなく、理解が出来た

確かに、普通に暮らしていたら
この学園は窮屈だろう


しかし、何故、しこさんは

入学出来たのだろう?

そもそも、しこさんの性格を

考えると

この学園はあってない

彼女ならもっと自由気儘な高校生活を

送りたいと思うはずだ


それに………


何だろう?


何かがおかしい………

その時だった

床に何かが転がるような音がした

練無は下を見るとペンが落ちている

彼はそれを拾い上げて見ると

S.Tと彫られた万年筆だった

「これ、違いますか?」
「ああ、そうです。

わたしのものです
ありがとうございます」

「いい、万年筆だね」

「執行部員はみんな貰えるんです」

「なるほど、その証なんだね」


「着きました。
此処が執行部の部室です」


重いドアを清見が開く


するとそこにいたのは


純白のドレスに着飾った


二階堂 りんだった



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