阿漕荘の2人
紫子side


香具山 紫子はこのウエスタンパークで

どうしても

いかにしても

なんとしても

ガンマンの衣装を着て、馬に乗りたかった


練無を無理やり引っ張り、

ガンマンのコスプレをした紫子の写真を

撮らせた


彼女は出来上がった写真にさぞご満足のようだ


「見て見て」


紫子がポロライドの写真を練無に見せる

カウボーイの格好をして
馬にまたがっている紫子の写真だ


「うんうん、似合うなー


女にしておくのがもったいないね」


「それ、どうゆう意味?」


「いや、しこさんが

ハイド様といい

黒バラ姫といい


女の子にモテモテの理由がわかったよ」


「……………れんちゃんも、

うちを見習え」

紫子は無理やりな笑顔をつくる


「うん、見習う、見習う……

それで、やっぱり僕も何か着てみたくなっちゃた!


女性用の衣装はないの?」

「キミのそうゆう所があかんのや」








しばらくして
練無は辺り見回した


「ねぇ、しこさん

僕、もうお腹ペコペコだよう」


「賛成、賛成!」


「どこかで食べようよ

そろそろお店も空いてるんじゃない?」


「ビール飲もう」


「まだ、昼間だし

それに、僕、車なんだからね」

「うちだけでもいいやん」

「仕方ないな」


練無たちは先ほど立ち寄った

カフェテラスに向かう





しかし、
道中、紫子は疑問に思っていた…








なんか、今日


やけに、れんちゃん優しいなあ


タダ券くれるし、車乗せてってくれるし、


うちが乗りたいもんも



やりたいことも





付き合ってくれるし…………



なんか、裏でもあるんやろか?



それに…………










カフェテラスでは

縞模様の大きなパラソルが

丸いテーブルの中央に立てられている


屋内ではないので、暖房は利いていない


相変わらず、屋内のレストランは満席だった



「うちはな、ビールと特製ソーセージ サラダ」

メニューを覗き込んで

紫子が言う


「れんちゃんはな、

あ、これにしなさい、

このポテト アンド チキン バスケット」

「ちょっと、

僕のまでしこさんが決めないでよ」

「悪いことは言わないからな、

コレにしとけや、な

うち、今、めっさ調子いいねん


大フナに乗ったつもりでドーンと来いや」


「大船に乗ったつもりで」


結局、紫子の大フナ?に乗った練無は

ウェイトレスに注文した


「しこさん、寒くない?

これ、使いなよ」



練無はブラックの手袋を
紫子に差し出した

「や、でも、いいよ

れんちゃん、使いなよ」


「僕は、ほら、日頃、少林寺で鍛えてるし

そんなに寒くないんだ」

そう、小鳥遊 練無は

毎朝、公園で少林寺拳法を習っている


「だけど、そんな、

うちより小さな身体して……」


紫子の発言に、練無は突如、顔を懲らしめる






あれっ?




れんちゃん、固まった?





ちょっと怒っとる?





なんで?





「いいから、使いなよ」






練無は投げやりになって

紫子に手袋を渡した


紫子は

なんとも言えぬ気持ちで手袋をはめる





「えっ、あれ?」

「どうしたの、しこさん?」


「ああ、いや……暖かいで、ありがとな」


紫子は驚いた


今、練無から貸してもらった手袋が


自分が思っていた以上に大きかったのだ


それは
身長がある紫子より
練無の方が手が大きいことに対する驚きであった



「れんちゃん、ずっと疑問に思ってたんだけどな………


今日、なんで男の子なん?


休日はいつも女の子やん」


紫子が尋ねたのは
もちろん、練無の服装のことである

今日の彼は
黒のパンツに青のシャツ、そしてジャケットという
至ってシンプルな服装だった


「んーと、ほら、


ここって家族連れ多いでしょう?


子供の教育上よろしくないじゃん」

練無は苦笑いをして、紫子を見る

「子供って……

れんちゃん、表参道でも秋葉の電気街で

も、ド派手な信号機みたいな服着て歩く

やん、何を今さら……」


「信号機って、

ひどいなーもー、

あの可愛さが分からないなんて……」

「じゃあ、今日は

なんで、ちゃうの?」


「なんでって…………なんとなくかな」


「いい加減やな




そうこうしているうちに

テーブルに料理が運びだされた

紫子は練無の手袋を取り、

バックの中に入れた


その時紫子は何かが引っかかるような

そんな歯がゆい気持ちになった
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