真実の愛のカケラ
バシン。
すぐ横から聞こえた机を叩く音。
驚いて体が跳ねる。


「俺のいない所で俺ら2人のことを勝手に決めておいて、そんなの約束のうちには入らないだろ!

柚希は、俺が探し回ってここに連れてきた」


た、拓哉が会長に怒ってる。


拓哉のおかげで、追い詰められていた空気が散った。
でもそれじゃあ駄目なんだ。
拓哉はきっと、すべてを自分の責任として話をつけようと考えている。
何とかしなきゃ。


でもどうやって?


「誰に反対されようとこればっかりは譲れない。
会社をこれ以上大きくしたいなら、別の方法を考えてくれ。


…最悪、会社を去ることだって覚悟してる」


今度は空気が凍る。
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