指先からはじまるSweet Magic
ダメだ。起きないと。


そう自分に言い聞かせて、目を開けようとした時。


フッと。
唇に、何か温かい物が触れた。


え、と思った次の瞬間。
その温もりに意志が宿って、目を閉じたままでも何が起きているのかわかってしまった。


一瞬だけ遠ざかる温もり。
固まって動けない私の唇に、再び降りて来た時。
声にならない声を、喉の奥の方で飲み込んだ。


優しく躊躇いがちに。
なのにどこか大胆に、私の唇を食むように触れる感触。


――キス……?


そう理解してしまったから、私はただギュッと目を閉じて、寝たふりをし続ける。
圭斗は、私の狸寝入りには気付かず、微かな吐息を漏らしながら、唇を重ね続けた。


心臓はバクバクと怖いくらい打ち鳴っていた。


どうして? どうして……?と、理性が空回りして、私自身に困惑した疑問をぶつけ続ける。


その答えを見つけることも出来ないまま。
圭斗の唇が離れて行って、その気配を感じなくなってからも、しばらく目を開けることが出来なかった。
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